岡山県一宮神社めぐり2「中山神社」
美作国は、現在の岡山県津山市周辺を中心とした岡山県北部になります。
この神社の始まりは707年。なんと今から1314年前!本殿は1559年に再建されていますが、それでも462年。本殿の古びた木の質感から、ものすごい歴史を感じます。
御祭神は「鏡作神(カガミツクリノカミ)」。
はて?
聞いたことが無い上に、どんな神様か想像できません。
それもそのはず、鏡作神に関する資料は見つかっていないそうなのです。
一体どういう神様なのでしょう。
まず、あの有名な三種の神器の一つ「八咫鏡(やたのかがみ)」を作ったのが、石凝姥神(イシコリドメノカミ)という神様です。その石凝姥神を祖先に持つのが、鏡作部(かがみつくりべ)という大和朝廷の組織になります。鏡や色々な道具を銅から作る専門部署の名前なんですね。
鏡作部は、祖先の石凝姥神の偉業を称えて「鏡作神」として崇め祀りました。
ここからは私の勝手な解釈になります。
日本は古代から、すべてのものに霊魂が宿るという「アニミズム」の考えがありますので、このように新たな神様を作り出したとしても不思議ではありません。
この神社の御神体「鏡作神(カガミツクリノカミ)」は、自分たちに道具を作る技術を授けてくれたご先祖様に感謝と畏敬の念を込めて、神様にしちゃおう!ということで祀ったのではないでしょうか。
そう考えると、とっても身内愛の溢れるエピソードだなと思います。
ただ、「鏡作神」は”金属加工・鍛冶の神様”で、縁結びとか厄除けなどの御神徳(御利益)とは違うので、職人さん向けの神社かなと思います。
この神社には、もう一つ「猿神社」という神社があります。
本殿の裏に、ひっそりと鳥居が立っているのですが、本当にこの先に神社があるの?と不安になるほど暗い森を進んでいくと、岩の上にありました。
「今昔物語26巻」に、この猿神社のことが書かれているとのこと。
現在は猿田彦神として祀られ、ぬいぐるみの子猿を奉納するのが習慣のようです。
確かに、小さな祠に溢れんばかりの子猿が!
そういえば入り口の狛犬を過ぎたところにも、猿が対になって居ましたよ。
↓これ、猿ですよね?(・・;
どこか懐かしく、落ち着いた雰囲気はとても居心地が良く、静かに歴史を伝える中山神社。老朽化が進んでいるようですが、これからも美作国を守ってもらいたいです。